「産休クッキー」ってなんだ

「産休いただきます」!?

「配慮がないと」とSNSで炎上

 

 産休に入る女性が職場に挨拶として、「産休いただきます」との言葉と共にかわいい赤ちゃんのイラストなどが描かれたクッキーを配る行為が配慮がない、とSNS上で炎上と言う記事を目にしました。

 

 いつからそのようなクッキーを配るようになったのか定かではありませんが、そもそも「産休いただきます」の「いただきます」という言葉に違和感を感じてしまったのは私だけでしょうか。それはさておき、

 

 労働基準法第65条第1項、第2項において産前・産後休業について次のように規定されています。
「産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)(いずれも女性が請求した場合に限る)、産後は8週間女性を就業させることはできない。」
これは母性保護の観点からの規定で、法律が体をゆっくり休ませてね、と言っているのです。

 

 産休予定の女性が職場に「産休いただきます。ご迷惑おかけします」との文言が入ったクッキーを配り、職場環境を良好に保つ「配慮」をする。その「配慮」を受け取った方では幸せアピールが鬱陶しい、「配慮」がないと。  「配慮」「配慮」「配慮」・・・・。

 

 つくづく女性が働き続けるって大変だなあと思ってしまいました。

 

 ひとの感情は様々ですのでクッキーを渡すことがどうとか、渡される方の気持ちがどうなのか、はここでは論じませんが、社労士の観点から言うと、一番大事なのは、これから産休を取る方のこれまでの業務をだれかが負担することになる、と言うことです。
通常業務に加えて、新たに仕事を押し付けられる従業員はたまったものではありません。これは産休をこれから取得する人の責任ではなく、会社がしっかりと制度を整えておかなければ職場の雰囲気が悪くなるどころが有能な人材を失いかねないのです。

 

 産休を取得した人が復帰するまでの業務をどのように、だれが何を引き継ぐのか、また、業務の負担が増えた従業員の給与体系には変化があるのか(基本給の増額や手当等)、さらには定期的な面談等を実施することで負担や不満の程度を会社が把握することも重要ではないでしょうか。

 

 出産・育児にかからわず誰しもが介護、病気との両立にある日、突然、直面することもあるでしょう。そんな時、「お互い様の精神」で、乗り切れるような制度・風土作りが企業には求められていると考えます。

 

 企業においてもダイバーシティが求められてる昨今ですが、身近な「違い」である、結婚している・していない、子どもがいる・いない、介護や病気と仕事を両立している、などそれぞれの「違い」を互いに受け入れ、それぞれが生き生きと働ける環境を整えることが企業価値を高めるはずです。